連載コラム⑩介護コンサルタント高山善文「日本の高齢化率は29.1%」
2022年9月15日に総務省が公表した推計によると、65歳以上の高齢者人口は、3627万人と、前年(3621万人)に比べ6万人増加し、過去最多となりました。また、総人口に占める高齢者の割合は29.1%でした。戦後日本では、人口増加のピークが2度あり、1度目は「団塊の世代」(1947〜1949年生まれ)と呼ばれ、年間約270万人の子どもが生まれていました。2度目は団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)と呼ばれ、年間約200万人の子どもが生まれていました。「団塊の世代」の方々は、2025年までに全員が75歳以上の後期高齢者となります。厚生労働省の統計(2022年)によると、介護保険サービスを利用している方の年齢別割合は、70〜74歳では、男性4.4%、女性3.9%、75〜79歳では、男性8.1%、女性9.4%、80〜84歳では、男性15.2%、女性21.5%、85〜89歳では男性28.4%、女性42.5%、90〜94歳では、男性46.8%、女性64.5%となっています。このデータから言えることは、誰もが70歳代後半から80歳代にかけて要支援・要介護状態になる可能性があると言えるでしょう。
安心感を得るために
高齢者ホームへの入居を
考えてみる
高齢社会白書(2022年)によると、65歳以上の一人暮らしの方と65歳以上人口に占める割合は男女ともに増加しており、2020年ではそれぞれ男性約230万人(15.0%)、女性約440万人(22.1%)となっています。一人暮らしの方は、自宅で暮らし続けることに不安を感じることがあります。「もし、自宅で倒れた場合、気づいてくれる人がいない」、「戸締りや火の元が心配」など、生活に関わる不安を感じたら、高齢者ホームへの「住み替え」を考えてみてはいかがでしょうか。「住み替え」を検討するタイミングは、例えば、本人自身が病気で入院し、退院する時や、親類など身近な方が一人暮らしの方の身体・精神的様子に心配を感じた時などがあると思います。最近、筆者に来る相談に、「物騒な世の中で、一人暮らしだと不安が募るので高齢者ホームに入居して精神的に安心したい」というものがありました。従来の高齢者ホームのイメージは、「寝たきりになった時に入居する」というものでしたが、近年は自立のうちから安心・安全、そして快適な環境といったニーズにも対応できるホームへの入居が進んでいることを感じます。
たかやま・よしふみ/1966年生まれ。
介護現場での豊富な経験を基に、介護事業者のコンサルティングを手掛ける。講演や執筆
活動に加え、介護支援専門員、東京都福祉サービス第三者評価者としても活動。ティー・オー・エス株式会社代表取締役。
【主な著書】『これ一冊でわかる!介護の現場と業界のしくみ』(ナツメ社)、『図解即戦力 介護ビジネス業界の仕組みと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など。一般の方向けに介護のしくみをわかり易く説明した『介護のしくみチャンネル』をYouTube にて配信している。
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