認知症高齢者の「資産総額」は250兆円
国内トップの独立系専業信託銀行の三井住友信託銀行は日本銀行「資金循環統計」、総務省「全国家計構造調査」などから同行調査部が独自に推計した認知症高齢者が保有すると推定される全国の「資産総額」、「金融資産」、「不動産」を3月23日に発表した。
日本の認知症高齢者が保有する「資産総額」は2020年で約250兆円、2030年に314.2兆円、2040年には約345兆円に増加するとしている。うち「金融資産」は約170兆円から2040年には約237兆円に、「不動産」は約80兆円から2040年には約108兆円に増加。「金融資産」「不動産」はともに東京・名古屋・大阪の三大都市圏に集中するが、特に「不動産」は三大都市圏で72%を占める。「金融資産」、「不動産」とも金額ベースでは東京が最大だが、2040年には「金融資産」で神奈川県が東京都を抜き最大になると予測している。
厚生労働省のデータでは、2020年の認知症患者は602万人。2030年には744万人となり高齢者の5人に1人が認知症になるという研究もある。
高齢化が進むとともに本人が認知症になり、判断能力が低下し、在宅介護や施設入居などで資金を必要とするとき、本人の資産が凍結され、家族が費用を肩代わりせざるを得なくなるケースが増えており、問題となっている。
親が認知症になったとき、資産を管理する方法には家庭裁判所に申し立てをして、一般的には「成年後見人制度」を利用することが多い。成年後見人には弁護士、司法書士、社会福祉士などが選任されることが多い。
さらに、親が元気で判断能力がある内に本人が選んだ後見人を選任する「任意後見人」という制度もある。
同行の谷口・人生100年応援部長は「日本における高齢化の進展に伴う認知症高齢者が保有される資産の増大は大きな社会課題です。そして、今回の結果を受けて、人生100年時代における後見や信託を通じた事前の準備が非常に重要だと改めて実感しています。認知高齢者が将来的に増えていく中、仮に認知症を発症したとしても後見や信託という仕組みを通じて、ご本人さまやご家族の方が、金銭的にも、精神的にも安心して、豊かな暮らしを支えることに、信託銀行としてしっかりと貢献して参りたいと考えております。」と話している。
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