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終活アドバイザーが主人公の映画「世の中にたえて桜のなかりせば」4/1公開②


「終活」なる言葉は『週刊朝日』から生み出されたとされており、元同誌編集長の佐々木広人が生みの親と言われている。2009年に「終活」に関する連載が行われた時期から「終活本」が数多く出版され、2012年の新語・流行語大賞ではトップテンに選ばれた。


そして、映画のタイトルが平安時代の歌人・在原業平の「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」の和歌からとられているように、映画のテーマは「終活」と同様、主演でありエグゼクティブプロデューサーを兼任した宝田明さんの「桜」に対する思いが込められている。


少年期を満洲で過ごした宝田さんは、満洲には桜がない事から日本への望郷の念に駆られたとき、常に思い浮かべたのが桜の花だったという。当時、ラジオから流れてくる桜の開花宣言などを聴くと、内地の人たちは桜のことで一喜一憂しているのかと羨望のまなざしを注いでいたとも。そんなかつて持っていた桜への想いが膨張して桜をテーマに自分がプロデューサーになって映画を作れないか、と思ったという。


桜は日本の国花であり、その起源は約2000年前の農耕が始まった弥生時代にさかのぼるという。山梨県武川町の実相寺には、日本三大桜の一つで樹齢2000年の日本最古の「山高神代桜」が生存しており、桜は穀物の神が宿る「神聖な樹木」として扱われてきた(Woodyニュースより)。


江戸時代の国学者・本居宣長は「敷島の大和心を人問わば朝日ににほふ山桜花」と日本人の心を詠んでいる。

また、桜の季節にはなぜか井伏鱒二が唐代詩人武陵の詩『勧酒』に付した名訳「花に嵐の例えもあるぞ サヨナラだけが人生だ」が思い出される。


生前、いささか親交のあった筆者(「宝田明さん急逝。知られざるロータリアンの一面」参照)にとって映画の公開を前に、まるで春の嵐にあったかのように宝田さんは「サヨナラ」してしまったという思いだ。

映画「世の中にたえて桜のなかりせば」丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサで上映中

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