連載コラム⑭介護コンサルタント高山善文「4月以降における高齢者ホーム選びの重要ポイント」
新年度からは、介護報酬の3年ごとの見直しが実施されます。介護報酬は、国や地方自治体が介護サービス提供者に対して支払う費用のことで、この見直しによって介護サービスの価格が変動します。
今年度は診療報酬の見直しも同時に行われ、令和6年4月と6月にはこれらの報酬の改定が予定されています。そのため、ホームに入居する前に、費用の変動に関する最新情報を確認することが特に重要です。
■高齢者施設と医療機関の連携強化
今回の改定では、高齢者施設と医療機関の連携強化が特に注目されます。これまでにも医療と介護の連携は推進されてきましたが、今後は要介護高齢者の増加に対応してさらに強化される予定です。
従来は生活面が重視されていた高齢者ホームの選択においても、医療ニーズの増大により、医療サポートの充実が求められています。ホームがどのように病院と連携し、どのような医療サポートを提供しているかを確認することは、選択時に重要なポイントとなります。
■立地、サービス、スタッフ、入居者の意見
立地やサービス内容は、高齢者ホーム選びの基本的なチェックポイントです。家族や友人が訪問しやすい立地にあり、周辺に買い物施設や病院があるホームは、利便性が高いと言えます。
また、提供される介護サービスの質、レクリエーション活動、食事の質が個人のニーズに合っているかどうかも確認が必要です。
スタッフの質と配置人数も、施設選びにおける重要な要素です。人手不足の現状を踏まえ、資格を持つスタッフが適切に配置されているかを施設訪問時に聞いてみることを推奨します。可能であれば、介護人材不足への対策や人材定着化の取り組みについてホームに直接尋ねることも有益な情報となります。
さらに、可能であれば、実際の入居者の意見を聞く機会を求めることも良いでしょう。
立地、サービス、スタッフ、実際の入居者の意見を総合的に検討することが、満足のいく高齢者ホーム選びの鍵となります。介護保険制度の見直しや医療的ケアの必要性を考慮しながら、これらの要素を慎重に検討し、自分や家族が満足できる生活を送れる最適なホームを選びましょう。
たかやま・よしふみ/1966年生まれ。
介護現場での豊富な経験を基に、介護事業者のコンサルティングを手掛ける。講演や執筆活動に加え、介護支援専門員、東京都福祉サービス第三者評価者としても活動。ティー・オー・エス株式会社代表取締役。
【主な著書】『これ一冊でわかる!介護の現場と業界のしくみ』(ナツメ社)、『図解即戦力 介護ビジネス業界の仕組みと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など。
一般の方向けに介護のしくみをわかり易く説明した『介護のしくみチャンネル』をYouTube にて配信している。
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